SDGsのお話し③〝みんなでやる〟(パートナーシップ)が最重要!

SDGsのはなし

SDGsとはなんぞや・・17の目標、なるほどと思いますが、多くの人があれはSDGsなのかな?これはSDGsだろうと、手探りでスタートしているのではないかと思います。

しかし、17の目標にそれぞれ設定されている169のターゲットを読むと、何をしたらいいのかある程度理解できるようになります。
※17の目標と169のターゲット 出典:農林水産省Webサイトhttps://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/sdgs_target.html

仮にSDGsという名のお宝を探す旅に出るとして、17の目標は目的地を決めるための地図、169のターゲットは、間違った方角に進まない為のコンパスの様な存在だと思います。
169のターゲットを把握して進むことで、迷うことなく取り組めるようになります。
ここで何を言いたいのかというと、SDGsの入り口は多様で細かく、複雑に作られているということです。

さて、17の目標のパートナーシップで目標を達成しようが今回のテーマです。日本の達成度評価の中では、目標5 ジェンダー平等、 目標12 つくる責任 つかう責任 、目標13 気候変動、の3項目と共に赤点の項目です。

目標5に関しては、女性の国会議員や会社役員が少ないところ、目標12についてはフードロスや、衣類などの大量生産・大量消費・大量廃棄等が原因ではないかと思います。目標13に関しては、世界共通で達成できていない項目と言われています。そして目標17は、主にはODAの不透明さが原因と言われているようです。
ODA(政府開発援助)は援助規模が、GNI(国民総所得比)の0.7%にするよう求められていますが、日本は2019年で0.29%と目標を下回っています。ただしこの数値は国民総所得の高い国は低い国より多くの実績が必要となるため、日本がODA実績が他国より単純に少ないという訳ではありません。 

各項目の理由について分かりにくいところが多いですが、日本がパートナーシップについての達成度が低評価なのは事実です。

ここから、SDGs17の目標でパートナーシップがなぜ重要なのかについて考えてみます。
SDGsが定められる前に、MDGsという目標が、2000年から2015年にかけて掲げられていました。開発途上国を対象に、主に国連・NGOなど、公的機関が中心となって推進されてきました。
しかし、MDGsの8つの目標は、ほとんどが達成できずに終わりました。その反省を活かしつつ、その理念を継承したのがSDGsです。

SDGsの新たな特徴として、①細かく具体的なターゲット設定、②先進国も開発途上国も対象とする、③公的機関だけではなく、グローバル企業も策定に参加したことなどがあげられます。
なぜこのように変化したのかというと、SDGsで解決すべき問題は、多様で複雑、何か一つの課題を解決すると、別の問題にたいして弊害がでることがあるということがあります。

例えば、レジャー事業者による地域開発が行われる場合、地域には雇用と(観光客による)消費が増加します。新しい取り組みが行われるようになり、「目標8 働きがいも経済成長も」が促進されます。

しかし同時に自然環境の悪化等によって「目標14 海の豊かさを守ろう」や、「目標15 陸の豊かさも守ろう」、ゴミの増加やフードロスの発生も起こり、「目標 12つくる責任 つかう責任」などへの貢献が阻害される可能性が起こります。
さらにレジャー施設以外の(例えば地域の商店街等)消費が落ち込むことにより、地域からの反発が起こる可能性があります。

これらを理由に、事業者と地域が協力し合えなくなると、結果的に地域の衰退を招くことになります。また、問題が起こると、それは行政の責任、これは民間の仕事など、官民が分断する事例も起こりえます。

このようにSDGsの17の目標は、一つ一つは独立した目標ですが、根底では繋がっていることが多いのです。

もし事業者と地域や行政とが上手く協働できれば、規模をコンパクトにして、地域の自然環境や美観を損ねないようにする、地域の助成金等を使用してクリーンエネルギーを使うレジャー施設を建設する、地域との協力でごみゼロ運動を行う、地産地消の食材を使用する、地元商店街と共同キャンペーン行う、地元から幹部社員の人材を登用する、など、地域全体で協力しあって地域活性の方向へ進むことができます。
これがパートナーシップで目標を達成しようでの成功の形の一つだと思います。

SDGsというワードは、価値観や優先事項が異なるもの同士が、協働で取組を成功させるための共通の言語、または旗印のような役割を果たします。



日本では〝風が吹けば桶屋が儲かる〟と言う言葉があります。
一見無関係に見えますが、実は繋がっているという事例は多いようです。
その一例として、ナイジェリアのチャド湖の事例をご紹介します。

とても大きい湖だったチャド湖は、温暖化の影響により、どんどん小さくなっていき、小さな池になってしまいました。
今まで湖の恩恵を受けて農業や漁業を行っていた住民たちは、水不足・仕事不足に苦しみ、多くの若者たちが土地を離れて大都市へ移動してしまいました。


その若者たちは大都市で貧困層となり、その街の一部がスラム化してしまいます。
最終的に若者たちは苦しい生活から逃れるため、イスラム過激派組織に入りテロ活動に加わるようになりました。

これは〝地球温暖化イスラム過激派組織〟、一見まったく関係ないように見える問題が、実はつながっていたという話なのです。
※参考:持続可能な地域の作り方 著者:筧 裕介(インタビュー記事:国谷 裕子氏)



もう一つの事例として、SDGsにおいて、パートナーシップの代表的事例で取り上げられる〝フェアトレード〟についてです。
これは(搾取のない)公平・公正な貿易という意味で、発展途上国の生産者と適正価格で直接取引し共に繁栄していく、〝持続可能な関係〟をつくるということです。

SDGsの観点で考えると、自身の地域だけが発展することが正しいとは言えません。
発展途上国により良い生産技術を指導したり、設備を援助することで今までより良い価値を生む取引を行っていくことも、パートナーシップの一つの形だと思います。

もし援助することによって、取引先の地域が豊かになれば、その地域が新たなマーケットとなり、そこで大きな販売シェアを築くことができるようになるかもしれません。
現在インフラ事業など日本国内での成長性が限界に来ている鉄道事業などでは、発展途上国でのインフラビジネス(販売・維持管理等)で、ODAによる公的資金と、民間の技術・ノウハウと力を合わせて官民一体で取り組んでいます。


SDGsには、これまでの取り組みにはない新しさがあります。今後ますますパートナーシップの重要性が高まり、大企業や自治体がSDGsに貢献する中小企業や団体と積極的に協働していく流れができるのではないかと予測できます。

入口がたくさんあって複雑に見えるSDGsですが、そこには多くの協働の可能性が秘められています。

※今回のお話は以下の資料を参考にしてます。詳細に興味がありましたらぜひご一読ください。
参考:持続可能な地域の作り方 著者:筧 裕介

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