SDGsは持続可能な社会を実現するための17のゴールを設定し、そこにいたるまでに169のターゲットとして方向性や手法を示しています。
SDGs活動では、ゴールに至るまでのストーリー(物語)を描いた方がいいと思います。つまり『私たちは持続可能の目標実現(17の目標のいずれか)に向けて、このような準備をし、このような活動を行っています』と表すことで、自分(自社)オリジナルなSDGsの活動になるということです。
今回はSDGsのストーリーを描くための材料となる〝点〟となる部分をメモ書き風に書いてみたいと思います。何かしら、ストーリーを描く時のヒントとなるかもしれません。
今回は消費大国で海洋大国である日本にとって特に重要(目標13と14は達成度赤点)な〝目標12 から14〟までをメモしたいと思います。
※あくまでメモのため、詳細は個別に確認ください。また、新しい情報があれば追記する場合があります。
12.つくる責任つかう責任
目標12は、日本では〝廃棄と食品ロス〟による環境・貧困・飢餓の問題が大きいです。この問題は〝物を生産する企業〟に関わってきます。
日本ではSDGs達成度評価において、目標12が〝赤点〟になっています。理由は生活用品の〝大量生産・大量消費・大量廃棄〟と、〝大量の食材の期限切れ〟です。
まずは〝大量生産・大量消費・大量廃棄〟についてです。安価にいいものが手に入ること自体は〝貧困〟がすすむ社会で考えると悪い事ではありません。
しかし、その〝生産地〟となる発展途上国では、国を挙げて生産体制を作り仕事の受注に取り組む一方で、その実態は安い人件費と老朽化した設備など劣悪な労働環境によって成り立っています。これはグローバルに広がる〝貧困〟の問題となっています。
同時に、これまであった仕事を奪われた形となる日本の生産拠点(中小のメーカー・町工場など)が維持できなくなっています。
つまり現状は国内の〝経済〟と〝産業〟の両面で考えると、経済(生活)としてはプラスの効果が大きい反面、産業(中小企業)としてみると、マイナスの効果もあることになります。
また、廃棄処分の問題もあり、特に日本で大量に生産される〝流行〟の服が問題となります。それらは〝暖冬〟などの影響を受けて売れ残った場合、もう翌年には〝流行遅れ〟となり、持ち越すことはできなくなります。
また、機会損失(売れる時に在庫がない等)と顧客を逃がすことを恐れて、多めに生産する傾向があります。このような理由で日本では生産した服の4枚に1枚が、新品のまま処分されているといいます。
日本で1年に廃棄される服の量ははっきりとしていません。(明確な統計数字がないため。)およそ10億点~30億点ともされています。
1990年頃にはまだ大量生産がなかったことから、現在の状況は現代の〝安くおしゃれをしたい〟という、世の中のニーズによって起こったのではないかと考えられます。
欧州で大量廃棄は社会問題となっています。そのため有名ブランド企業は自社商品を回収する事を推進しています。
しかしリサイクルの実態は厳しく、例えば綿やラシャ(羊毛)は清掃用品などへのリサイクルが可能ですが、化学繊維である〝ポリエステル〟が混じると、需要がなくなるといいます。(化学繊維は水や油を吸収しにくいため。)
このような化学繊維の混じった服は、保温機能などの性能が優れていることから増加傾向にあります。
リサイクルには原材料に戻したり、固形燃料にして熱エネルギーとして使用する〝サーマル・リサイクル〟もあります。しかしこれらはコストが高すぎて採算が合わないとされています。
そのような現状の中で、欧州の国々では〝リペア〟(気に入ったもの長く使う)といった生活スタイルの変化が広がりつつあります。また、環境への関心を持つ人々が増えていることから、今後アパレル産業ではイノベーションの気配が感じられます。
中国の例ですが、ITを活用したオーダーメイドサービスが始まっています。お店で採寸すると同時に、システムによって生産が始まり、約1週間で手元に届くという仕組みです。受注生産のため、ロスが少ないこともあり、低コストなオーダーメイドを実現してます。
また、ヨーロッパではジーンズの〝シェア〟サービスが始まっています。これも一年で廃棄されるジーンズが多いことから、一年単位で借りる形にすればいいのではという発想から始まっています。
返却されたジーンズは、企業によって再資源化されます。企業では再資源化しやすいように、最初から無駄となる材料(化学繊維や合皮等)を使わない様にしているといいます。
これは〝初期設計〟の段階から、資源循環型経済の仕組みを考える、リデュース(減らす)の考えです。
次に〝フードロス〟についてです。これはまだ食べられる食品が廃棄されることをいい、私たちの生活に直結しているとても身近な問題です。SDGsでは、お店の食品廃棄を、国民一人当たり、現在の半分の量に減らす事を目標にしています。
私たちに身近な存在のコンビニでは、機会損失を防ぐことを指導されるといいます。これは売り切れによって顧客を逃すことを防ぐための〝ビジネスルール〟です。そのために常に多めに商品を仕入れることにつながっています。
また、スーパーでは加工食品等は実際の賞味期限よりも早く(1~2ケ月前)に品物を撤去する〝ビジネスルール〟があるといいます。これは賞味期限切れ商品を販売しないようにするための仕組みです。
現在ではITの活用により(IOT・インターネット・オブ・シングス)、需要予測システムや、賞味・消費期限が近づくと自動値下げするシステムが開発されています。
また、廃棄食品で家畜の飼料を製造したり、食品発酵させて発電する〝バイオガス発電〟などの取り組みも行われています。
そして食べられる廃棄食品を寄付する〝フードバンク〟の活動が盛んになっています。フードバンクでは店頭から撤去される(賞味期限まで1ヶ月以上ある)缶詰や加工食品、その他野菜や米・パン・冷凍食品などを受け付けています。(お弁当やサンドウィッチ、食べ残し品は受付不可となっています。)
フードバンクは〝人〟と〝食〟のマッチングです。このおかげで多くの団体(児童養護施設等)で食費を節約でき、教育やその他の事に予算を回すことができます。そして企業側は〝廃棄コスト〟を削減できる上、企業として社会的責任(CSR)を果たすことができます。
なお、廃棄食品の処理は、食品メーカーの出す〝産業廃棄物〟に関しては費用はすべて企業負担ですが、コンビニ・スーパー・飲食店などの食品ごみである〝事業系一般廃棄物〟は、市町村の財源(税金)も使用されて焼却しています。そういう意味でも、食品ロスは市民一人一人の生活に直結する問題という事になります。
これまでの問題について、オランダでは循環型経済〝サーキュラーエコノミー〟が推進されています。これは資源の消費を防ぐだけでなく、資源を循環させることで経済成長を遂げるという考えです。
日本では、リサイクルなどは〝推進〟でとどまる傾向がありますが、欧州では〝実行〟までが義務付けられ、循環型経済の仕組みを世界標準とするべく推進しています。
実例として、2014年にオープンしたアムステルダムの人気レストランでは、まだ美味しく食べられるのに、賞味期限切れとなる食材を調達して、一流のシェフの腕によって高クオリティのコース料理を〝低価格〟で提供しています。
このお店で働くシェフは、増え続ける〝生ごみ〟という社会問題を解決できるうえに、廃棄食材を、自身の工夫と腕で、素晴らしい料理に変える事への挑戦を〝働きがい〟を持って取り組んでいると言います。
もちろん店内の雰囲気づくりにも力を入れていることも、地域住民からの人気の秘訣です。
このお店の活動により、毎年30万㎏の食材が活かされているそうです。
日本ではこれらのような循環型経済〝サーキュラーエコノミー〟について、欧州に比べると大きく後れを取っており、まだまだ〝使い捨て経済〟が主流です。しかし日本には眠っている資源、〝都市鉱山〟があると言われています。
日本には原油や鉱物などは少なくても、膨大な量の〝廃棄物〟があります。これは見方を変えるとゴミではありません。PC やスマートフォンの小型家電には、金・銀・銅・インジウム(銀白色の金属)などが含まれており、これらは家電廃棄物として眠っています。
なお、2021年の東京オリンピック・パラリンピックでは、入賞メダルをこのような金属で制作することで、資源活用されています。このように考えると、日本でも循環型経済・サーキュラーエコノミーに大きく期待できる考えられます。
最後に、〝社会〟としての考え方です。企業側の努力だけでなく、消費者側も〝品切れ〟や消費期限や賞味期限について、ある程度(健康に害がない事を前提)は寛容に受け入れ、社会全体として過剰な生産を減らすことを考える、3R(スリーアール)、リサイクル(再資源化)やリユース(再利用)、リデュース(減らす)、+(プラス)リペア(修理・長く使う)に、地域・企業・消費者が一緒に取り組んでいくことは大切ではないかと考えられます。
例えば、日本では〝食中毒の恐れ〟から一般的ではない、飲食店での〝お持ち帰り〟は欧米では普通に行われています。
日本は古来より〝もったいない〟という精神を大切にしてきました。しかし近年になり、過剰と言えるリスク回避(クレーム、食中毒リスク等)が企業負担となったことで、食品ロスや大量廃棄という問題が生れたのではないかと考えられます。
13.気候変動に具体的な対策を
目標13は、世界中に影響を及ぼす気候変動、つまり〝温暖化の影響で増加する異常気象と災害、その被害への対応〟についてになります。
目標13はSDGsで重要な課題とされ、具体的な対策・課題解決方法が、他の多くの目標(目標2、7、9、11、12、14、15等)と連動してきます。
気候問題が具体的に取り上げられたのは、1992年ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された「国連地球サミット」です。ここで温室効果ガスについて触れられ、国際環境条約が確立されました。
そして1997年に日本で開催された「地球温暖化防止京都会議」で、「京都議定書」が採択され、先進国を対象として、2020年までに温室効果ガスを全体で5%削減する目標が定められました。(日本は1990年頃より6%削減する目標)
しかし主要国であるアメリカは2001年にこれが経済成長を阻害するとし離脱を表明しました。
2015年のフランスのパリで「パリ協定」が採択され、2030年を期限とし、発展途上国を含めたすべての国々に気温上昇を抑える努力と、温室効果ガスの排出量のバランスをとることが目標とされました。これは平均気温を、産業革命以前より2度上昇までに充分に抑える事としています。
これらを前提として、現状はどうなっているのでしょうか。結論として世界の平均気温はゆるやかに上昇しています。また、温室効果ガスも増加傾向にあります。
2100年までに平均気温は(2000年頃から比べて)2℃から4℃上昇するとされています。(温室効果ガス対策が上手くいった場合、0.3度から1.7度に抑えられるとされています。)
そして気温の上昇と共に、以下の様な問題が起こるとされています。
・異常気象による災害被害の増加(大型台風、ゲリラ豪雨、山火事や竜巻の増加)
・水温上昇による海面上昇と水質汚染(洪水の被害増加、国土が海に沈む、赤潮等の増加)
・生態系の破壊と農業被害(絶滅する生物が増加し、地域によって農作物は作れなくなる)
・健康被害(熱波、熱中症による死者増加、大気汚染等によって健康を害する)
例えば、アメリカでは山火事は大きな問題で、ひとたび起こると森林を焼いて〝CO2排出〟と、さらに貴重な〝森林の消滅〟というダブルパンチになります。
また、農作物は気温が上がり、生産に不向きとなる地域が生れます。結果として〝食糧難〟が起こる恐れがあるのです。特に農業中心のアフリカ諸国にとって大打撃になる可能性が高いです。
炭素排出量は現在、国毎に目標設定されています。国によって排出量は大きく異なり、部分的に見ると老朽化した石炭火力発電を使ったり、開発による森林破壊を行う発展途上国が取り上げられますが、全体としてみると、産業による生産、エアコン、PC、車など、やはり先進国の排出量が大きく、発展途上国の方が小さい傾向にあります。
そうなると、先進国の経済活動や豊かな生活によって、発展途上国(アフリカ諸国等)が異常気象の影響を受ける可能性が高くなります。これによってさらなる貧困の拡大につながる恐れがあるのです。
産業に目を向けると、重工業・エネルギー・農業による排出量が多いため、これらの業界に関しては、今後も技術革新が求められることになると考えられます。
もう一点大きな問題が、異常気象と災害による〝都市破壊と死者の増加〟です。これは経済危機に繋がる恐れがあります。
都市破壊については、暴風などによって建物やインフラの倒壊で発生する復興費用や、2次的な経済被害 となる〝流通や生産の停止〟など様々な影響を受けます。
熱波や熱中症による死者の増加は、エアコン設備の少ない北部ヨーロッパ地域や、発展途上国などで増加する場合があります。
それらの影響を受けて〝保険業界〟は死者の増加に対する生命保険や、災害に対する保険が現状のままでは成り立たなくなる可能性があります。
また、今後温室効果ガスの排出量が大きい業界は、国から様々な規制を受ける可能性もあり、それによっては〝投資会社〟も影響を受けることになります。
現在これらの問題に取り組むために、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)という組織が欧州の金融機関などを中心に設立されています。(日本からは東京海上ホールディングスが参加しています。)このTCFDは、金融市場の安定を目的として様々な提言活動を行っています。
例としては、投資判断への気候リスクの検討、より低炭素なインフラへの投資などの気候変動リスクに関する提言です。
以上の様に気候変動によるリスクについてまとめましたが、気候変動によって最も影響を受けるのは、発展途上国の特に貧困者層です。貧困者は災害が起こりやすい地域に住んでいる傾向にあります。災害時の被害は大きくなり災害復興も困難で、気温上昇による死亡リスクも高くなります。
気候変動の問題は誰もが被害を受け、誰もが加害する側になる特殊な問題です。そのために
企業だけでなく、地域全体・または個人レベルでも考えていく必要があります。
現在気候変動への具体策として注目されているのが、IOT(インターネット・オブ・シングス=家庭や物流や製造などをインターネットシステムでつなぐこと)の、エネルギー版 IOE(インターネット・オブ・エナジー)です。
これはAⅠやビッグデーターを活用し、再生可能エネルギー・つまり自然エネルギーを管理する取り組みです。(目標7で紹介しています。)
現在IOTは国際標準規格によって、世界基準が決まり始めています。そしてIOEも各国で国際標準規格の採用を目指しています。
世界標準に合わせると自国の独自の技術が使えなくなる制約が生れます。また、採用されることでその分野において優位に立てるため、先進国は国際標準規格に認定されるために開発に取り組んでいます。
現在でもヨ-ロッパは、IOEの国際標準規格認定に、10ケ国の企業が共同で取り組むなど力を入れています。これはまさに再生可能エネルギー分野の覇権争いと言えます。
14.海の豊かさを守ろう
目標14は多様な問題がありますが、特に日本は海に囲まれているにも関わらず、世界二位の
水産物輸入国です。そのため、SDGs達成度では、輸入に伴う海洋生物多様性への脅威とみなされ、目標14は赤点となっています。
初めに日本は、〝海に囲まれた世界屈指の海洋大国〟であるという事を前提とします。
日本は魚を食べる習慣が減ってきているとはいえ、まだまだ消費量が多い国です。それに対して漁業・養殖業生産量は1984年以降、3分の一位まで減少を続け、現在では米国についで世界二位の水産物輸入国となっています。
(北欧からはサケ・マス、東南アジアからはエビ、その他からマグロ・カツオなどが多いようです。)
その一方で日本は様々な海流の影響により、多様な魚が育まれて〝寿司〟の様に世界に誇れる食文化が発展している国でもあります。
これらの現状を踏まえて日本は何ができるのか、またできていないのか。ということになります。
まずは海が汚されている現状があります。海洋ゴミにはプラスチックごみが多く、それを魚が誤飲したり、引っかかって傷ついたりするような〝海洋生態系への被害〟が起こっています。
ダボス会議(世界経済フォーラム)では、プラスチックごみは今後も増加し続け、2050年には海の魚の〝重量〟を越えると発表されました。(現在日本のプラスチック使用量は世界2位とされています。)
プラスチックごみがどこから海に流れ込むのかというと、まず日本国内の町からです。特に台風の際には、風に舞うプラスチックごみが、川を経由して大量に海に流れ込む事があります。
次に世界中(特にアジア)から漂流ごみが流れ着きます。つまり海洋ゴミとは国内だけでなく、国境のないグローバルな問題という事になります。
海洋ゴミ(プラスチックごみ)を減らすには、まず使用量を〝減らす〟ことが大切で、これはリデュースとされ、現在世界中でレジ袋の削減に取り組まれています。
レジ袋に使われるプラスチックは、原油の3%の量しか使われておらず、資源の消費に対して影響はないという意見があります。資源の面を考えると一理ありますが、海洋ゴミを減らす事に関してはとても効果的と考えられます。
問題となるプラスチックの特性は、熱で変形して固まるため加工に便利で、また気密性に優れ、丈夫で長持ちします。しかし自然界の微生物の影響を受けない為、自然分解されることがありません。
プラスチックの処分は、もともと原油から作られていることもあり、基本的に〝焼却〟されています。そのためCO2排出による温暖化への影響が高いとされます。
温暖化は氷河に与える影響や、海水の温度が上昇することで液体の分子の活動は激しくなり、体積が増える〝熱膨張〟が起こり、水面が上昇して土地の水没や洪水など起こりやすくなります。。
また、海水の温度が上昇することで、酸素が水に溶け込みにくくなり、酸素をエネルギーとする微生物の分解力が弱まり、〝水質汚染〟を引き起こします。
またプランクトンの増加が原因とされる赤潮の発生もあり、水中の無酸素状態が起こり、生き物が生きられなくなる、〝生態系の破壊〟につながります。
もう一つ未知の脅威として、海中の〝マイクロプラスチック〟問題があります。これは破砕したビニールやプラスチックが細かくなり、海中に漂ってしまうという問題です。
マイクロプラスチックは、体内で消化されないため、基本的に無害であるとされていました。しかし、近年ではマイクロプラスチックに別の性質のものが付着する可能性があるので、注意する必要があるとされています。
マイクロプラスチックを魚が体内に取り込み、それを人間が食すことで人間の体内にも取りこまれています。現在のところマイクロプラスチックが、魚や人体に悪影響を及ぼすかどうかは未知となっています。
そう考えると海岸でのプラスチックゴミの回収や清掃は、生物多様性の保護と人体への健康被害を防ぐ意味で、とても大切なことだと思います。
そのように脅威の有るプラスチックごみの環境対策として、リサイクル(再資源化)、リユース(再利用)、そしてサーマル・リサイクル(熱回収)の3つが中心に行われています。
サーマル・リサイクルは日本のお家芸で、プラスチックを焼却した熱をエネルギーに変えて有効活用するものです。(ゴミ処理の抜本的な対策とは言えません。)
リサイクルの場合、一度原料に戻して再構築するのですが、そのためにはプラスチック容器を洗浄し、さらに同質の物だけに選別する必要があり、手間がかかり高コストな上、いずれは劣化するため、結局は焼却しなければなりません。
リユースは、簡単に言えばプラスチック商品を廃棄せず、リサイクルショップなどで再利用することです。(ペットボトルやレジ袋のごみ問題とは関連がありません。)
ちなみに欧州では〝リペア〟(長く使うこと)が根付き、〝シェア〟も盛んで、地域で協力してカーシェアや、冷凍庫のシェアに取り組む地域があります。
また、〝リデュース〟(使用を抑制すること)も盛んで、マイボトルの推奨と共に、公共の給水場の設置を行う地域があります。
ゴミ問題で期待されるのが〝バイオマスプラスチック〟です。これは原料が石油ではなく植物由来です。そのため化石資源の節約と共に、原料の植物を育成する過程でCO2削減効果を発揮します。
しかし、バイオマスプラスチックは、他の性質のプラスチックと一緒にリサイクルができないという課題は残ります。
このようなバイオマスプラスチックに関して、日本でイノベーションが行われています。例えば日清カップヌードルです。
もともとプラスチックは、湿気や有害な気体の影響(酸化等)を防ぐいう意味では、優れた気密性がありるため、容器に発泡スチロール(容器包装プラスチック)が使われていました。
しかし現在は紙にポリエチレンをコーティングする、〝ECOカップ〟が開発されています。カップに使われるプラスチック割合を減らす事によって、資源の保全に貢献しているのです。
さらに2019年にはその進化版として、コーテフングにバイオマスプラスチックを使用する〝バイオマスECOカップ〟が開発されました。
最初に日本は海に囲まれた海洋大国であると述べました。海には安定した風が吹き、障害物もなく、風力発電を行うには最適です。〝洋上風力発電〟は、陸上の風力発電より発電容量が大きく、何より国土の狭い日本にあって土地の制約がなく大規模な開発も可能です。
洋上風力は水深の浅いところには、基礎を設置する〝着床式〟で行われ、水深の深いところには〝浮体式〟という風車を海に浮かせる技術も開発されています。広大な海は、自然エネルギーを提供してくれる、〝母なる海〟ということです。
日本にとっては、国土の広さと天候や災害などを考えると、自然エネルギーへの期待は大きく望めないかと思いましたが、海のおかげで新たな可能性が生れます。例えばこれらを漁業のエネルギーとして活用することです。
最初に述べた漁業・養殖業生産量が減少している事の一因に、漁業事業者が縮小していることがあります。これには船の設備の進化で、世界中から安価な魚の輸入ができるようになったことが影響し、さらに船のエネルギーである燃油が高騰していることが追い打ちになっていると考えられます。
簡単に言うと苦労のわりに、採算が合わなくなっている訳です。
しかし船のエネルギーは、現在ソーラー船(太陽光発電)や、風力発電の電気を使い、水素をつくる Power to Gas(パワートゥガス) の技術もあり、水素船の運用も、課題はありますが、一つの未来として期待されています。
そして重要なのが養殖事業で、自然の回復量を上回ることがないようにするため、期待したいところです。国産養殖はコスト面で課題が残る事が多いですが、洋上風力発電によって安価な電力エネルギーが使用できるようになるなど、テクノロジオーの連携(イノベーション)で新たな可能性が今後生れてくることに期待されます。
一つ心配なのは、洋上風力発電が設置されること自体による、海洋生態系と漁業への影響です。人口建造物によって、漁に影響が出たり生息地に変化が起こる可能性もかあるかもしれません。このような課題についても現在調査の取り組みが進んでいます。
コメント