SDGsについて、ここで〝SDGsのゴール〟について考えてみたいと思います。
私の考えを結論から言うと、最終目標は二つに絞られます。
1.戦争・テロ・紛争・内戦など、〝争い〟をなくすこと
2.地球に(気候・災害・環境破壊等の影響を退け)持続的に〝住み続けられる〟こと
私たちの暮らしを持続可能なものにするために、この二つを大目標として考えています。
その上でテーマを決めます。
それは〝みんなの 平和で豊かで公平な生活を、未来永劫持続させていくこと〟です。
平和と公平
〝平和〟と〝公平〟は、とても難しいテーマです。
いきなり少し話が逸れますが、宗教観の話から入ります。〝宿命論〟という考え方があります。これは〝現在の状況はどうにもならない理由があるからで、人の力ではどうにもならない〟という考え方です。
人間には、それぞれが持って生まれた〝宿命〟があり、それを変えることはできないという、本能による〝思い込み〟を持っているということです。
それは現代でも存在し、実際に一部の国の投資家たちは、東南アジアやアフリカ等の発展途上国に対する〝未来の発展の可能性〟について、なかなか理解されないそうです。そしてその様な本能は、〝偏見や差別〟を引き起こすのです。
偏見や差別は、イノベーション(革新的なアイディア)の可能性を妨げます。また、偏見や差別による不公平さは、無用な争いを生み、社会がより良く変化することを難しくしています。
SDGsは、世界のすべての人々に対して〝公平〟な世界に変革するというメッセージを発信しています。
ただし〝公平〟とは、〝みんないっしょ〟ではありません。〝みんなにチャンスがある〟ということで、決して全ての人々が同じ収入を得られる訳ではありません。みんな同じにしてしまうと、能力や努力に対する不公平が起こるからです。
SDGsの求める公平さは、たとえば全ての人々が、知識や知恵を得るために学ぶことができる環境づくり、また不衛生や、貧困と飢餓などにより、そもそも生きることがままならない事を無くすということです。
〝平和〟は、まずは戦争・テロ・紛争が主題となります。このような国家同士や、国家対個人の争いの一部は、不公平から起こると考えられます。
歴史を振り返ると、人間が狩猟を行い定住しない遊牧民だった時代は、食料など基本的に保存ができず、組織内で平等に分配された事から、争いは少なかったとされています。
しかし人間が定住し、漁業や農業によって財産(土地・船・食料備蓄等)を持つようになってからは、〝格差〟による争いが生れるようになったと考えられています。
つまり、偏見や差別、教育や公衆衛生の不公平、不公平による貧困や飢餓、これらが〝争い〟に直結する事があるということです。
さて〝平和〟の中には、地球温暖化等の自然環境悪化を一因とする〝災害〟も、解決すべき問題に含まれます。
例えばアメリカでは、気候の影響によって、山火事や竜巻が増加しています。日本では、豪雨や土砂災害、台風の増加などが懸念されています。
一見誰にでも公平に起こるように思える自然災害でも、〝不公平〟が存在しています。それは災害が起こりやすい地域での暮らしを強いられる人々がいるという事です。
例えば、豪雨の被害にあいやすい沼地や湿地帯に暮らす人々、または災害の被害を拡大してしまう〝インフラが弱い〟地域で暮らさざるえない人々、これらは貧困の問題を抱えていることがあり、また災害を避けるための知識を持たない事も多いのです。
このような問題を解決するためには、多くの人々の理解と協力により、教育やインフラ整備、グローバルなシェア・支援・投資など、SDGsの旗印のもとで組織的に〝複合的な課題解決〟を行う事が重要と考えられます。
豊かさ
まず〝豊かさ〟とは、経済的・治安面・生活環境・文化的など、多様な豊かさがあります。
SDGsでは制度やルールをつくることで〝制限〟を課すことはありますが、基本的に、豊かな生活と経済成長を維持させながら、自然環境や資源を次の世代に引き継ぐために、経済成長と環境保全の両立を目指しています。
これを分かりやすく身近な生活に置き換えてみましょう。例えば収入が30万円なのに、借金しながら50万円の豊かな生活をしていると、将来、子供に多額の負債を残すことになってしまいます。
つまり私たちの生活は、未来の子孫たちが使うはず分の資源まで使い込んでいると考えられるのです。水や、魚等の海洋資源、また石油やガスなどの天然資源を残していくために、自然の回復力を超えない様に、資源の消費を抑えることが重要になります。
しかしこの問題は消費を抑えるだけでなく、抜本的な解決方法が必要となってきます。
つまりテクノロジー(科学技術)の発展や、イノベーション(革新的なアイディア)です。
実生活でたとえるなら、支出を抑える以外に、収入を増やすため、自分の価値を高める新しいスキルを身に着けたり、副業にチャレンジするなど、変革が必要になるということです。
もし未来で、自然環境の悪化・天然資源の枯渇など、最悪の状況に陥った場合、資源や技術(テクノロジー・産業)を失って、貧困拡大と飢餓が起こり、規範(ルールや道徳観)を失って、搾取や略奪が起こると考えられます。
これらは多くの争いを引き起こすでしょうし、そもそも地球上で豊かに暮らせる土地が減少することで、個人や国家で領土をめぐる争いが起こるかもしれません。
豊かさは争いを減らすために必要です。それには資源・技術・規範の三つのバランスを維持することが持続可能の課題になると考えられます。
文化的な豊かさ
さてここから、少し話が変わり、日本の国内の問題について考えてみます。それは〝文化的な豊かさ〟についてです。
日本は世界の中で特異な、少子化による人口減少問題が存在しています。そのため伝統産業の後継者不足や、消費減少が大きな懸念になっています。
伝統産業の衰退は、最初に地域の経済力と雇用を失わせます。また、伝統文化(芸能、祭り、エンターテイメント)が失われると、地域の活力が失われます。
地域の伝統産業や伝統文化が失われることは、その地域の個性や誇り失われ、アイデンティティを喪失するということです。
雇用が少なく、活力がなく、個性や魅力もないような地域に、郷土愛は生まれないでしょうし、若者の多くが地域を離れてしまうと予想できます。
一つの未来予想で、人の居住地、ものづくり拠点、消費活動が大都市に集中し、地方はほぼ人が住まず、AIやロボットによる食料生産と、山や森の自然を増やして、CO2削減の役割を担うという未来も考えられます。
地域の伝統産業や伝統文化を守るためには〝基盤(インフラ)〟が必要となります。
※基盤(インフラ)とは、〝安心・安全・豊かな生活のための仕組みや施設〟の事で、例えば書店や図書館等は、文化インフラと言えるのです。
具体的な話をすると、安価であることや手軽であるなど合理的な考えだけでなく、地域の工芸や文化に対する〝付加価値〟を考えてもらい、〝愛着〟の精神を育んでもらう努力を行うなど、自地域の〝伝統産業や伝統文化を守りたい〟という気持ちを醸造する仕組みをつくることが大切です。
また、体験施設や博物館など、文化を守る設備を整える努力も、地域全体で行っていく必要があると考えられます。
暗い話ばかりになりましたが、文化に関しては明るい話題もあります。
グローバル社会の恩恵もあって、世界中の文化で〝多様性〟が生まれており、革新的かつクリエイティブなものが成功する、グローバルにニッチ市場が存在しています。
IOT(物流とインターネットをつなぐシステム)の発展と合わせて、地方の伝統産業もイノベーションによる成功をつかむことが可能な世の中になっています。
みんなで
最後になりますが〝みんな〟の部分です。
SDGsでは目標の最期17番目にの〝パートーナシップで達成しよう〟を持ってきていることからも、重要視していることが分かります。
さらに国連でも〝誰も取り残さない〟というメッセージがあり、分かりやすいです。
大きな目標の達成の為に、SDGsは17の目標(ゴール)が設定されていますが、17の目標のすべてに対して、みんなが主体的に取り組むことは困難です。
そうはいってもみんながSDGsを理解したつもりになって、実際になにも行動しなければ、課題は解決しません。
しかし第三者として、できることがあるのです。
〝それは問題に向きあう主体者を支援することです。〟
最初は寄付をする、アンケートや調査に協力する、SNSで応援する、また直接的声をかけて応援するだけでも構わないと思います。
少しずついいので、自分が関われそうな目標に対して、行動している誰かを手伝う、イノベーションを前向きに捉え、新たなテクノロジーに投資する、たまには自分で新しい事に取り組んでみるなどしてみるといいかもしれません。
一つ一つは小さい事ですが、これらが〝同時多発的〟に、それこそ世界中で起こることで、SDGs17の目標の達成への可能性が見えてくるのではないでしょうか。
これは、SDGs目標17〝パートナーシップで取り組もう〟です。
まずは、SDGsを〝理解してみる〟ところから始めてみましょう。
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