SDGsは持続可能な社会を実現するための17のゴールを設定し、そこにいたるまでに169のターゲットとして方向性や手法を示しています。
SDGs活動では、ゴールに至るまでのストーリー(物語)を描いた方がいいと思います。つまり『私たちは持続可能の目標実現(17の目標のいずれか)に向けて、このような準備をし、このような活動を行っています』と表すことで、自分(自社)オリジナルなSDGsの活動になるということです。
今回はSDGsのストーリーを描くための材料となる〝点〟となる部分をメモ書き風に書いてみたいと思います。何かしら、ストーリーを描く時のヒントとなるかもしれません。
それでは目標1~目標6をメモしていきたいと思います。
※あくまでメモのため、詳細は個別に確認ください。また、新しい情報があれば追記する場合があります。
1.貧困をなくそう
近年エシカル(論理的・道徳的な課題の解決)というワードがよく話題でるようになりました。
エシカルな活動の代表的な例としては、グロ-バル企業が利益の一部を発展途上国に投資し、インフラ設備を整えたり、寄付を行ったりしています。それによって発展途上国が豊かになれば、新たな商圏となり、結果的にグローバル企業の利益に繋がっていくということです。
発展途上国とはどういうことかと考えると、資源・技術・法規のバランスが取れていることが国家として重要で、これがあるかないかが、先進国と発展途上国の違いになるのではないでしょうか。
資源がないと産業も経済も成長できず、衰退が始まります。そのため昔から資源の奪い合いが起こってきました。
アジア・アフリカなどの発展途上国には、実に豊富な地下資源(化石・鉱物等)が埋蔵されていて、自然資源(森林・川・土地等)もある訳ですが、残念ながら、技術(テクノロジ-)がないため、それを活かすことはできず、その結果貧困と飢餓に繋がっていきます。
また、法規(+規則・知識)が整っていないので略奪や搾取に合ってしまいます。
こういった現状を変えていかなければ、発展途上国から貧困は無くならず、変えていけるのは先進国によるODAや技術提供や、グローバル企業の投資ということになります。
現状として、エシカルな投資を行うグローバル企業には、資本家からの投資が集まりやすくなり、そうでない企業には投資が集まりにくくなる世の中に変わりつつあります。
また、NGOを始めとする多くの支援団体からの寄付について、欧米を中心に盛んになっています。
しかしこれらも、例えば発展途上国に特定の衣類や靴を寄付するという活動を行った場合に、衣類や靴だけが過剰に余ることなり、貧困の解決にいたらない場合が多いようです。
仮に設備や製品を寄贈した場合には、一度壊れたら現地では修理することができず、置物と化してしまう、また学校を建築した場合も教師を雇いつづけることができないなど、ランニングコストが払い続けられないミスマッチが起こっているといいます。寄付の場合には、持続的な支援をし続ける事が重要だったりします。
しかし世の中は〝物〟や〝学校〟を寄付する方が、現金を寄付するよりも、ストーリーが美しく見えることから、このようなミスマッチが起こり続けているのではないかと考えられます。
近年話題のフェアトレード(弱い立場にある生産者に対し、公平な額の取引を行う事)には、多くのものづくり企業が取り組み、フェアトレードマークによって、企業価値の向上と、選ばれる商品のPR成果として企業自身にもメリットが生れています。
また、より良い品質を持続的、かつ長期的に仕入れるためには、良いことだと言えます。
一つ問題があるのは、実際の生産地では、一部の企業の利益が末端の労働者に届いていない場合があるといいます。
現地企業が利益を上げる一方、現地労働者は多くのリスクを抱え、低賃金で働き続けているということです。
(もちろん多くの企業は、持続可能なビジネスのためにしっかりとフェアトレードに取り組んでいます。)
フェアトレードに係わる企業は、現地の情報を確認してそれを公開することで、企業価値はより向上して、かつ現地の労働者の生活の向上もより確実になるのではないかと思います。
最後に発展途上国では、人口の増加による貧困の拡大によってスラム街が増加しています。そうすると治安の悪化や、生活できない若者がテロ組織に加わるなど、〝あらゆる争いの素になる〟可能性が生れています。
2.飢餓をゼロに
一番大きな問題は〝人口増加〟による〝食糧問題〟だと考えられます。
世界の人口は2030年に85億人(現在約78億人)になると言われています。主に中国・インド・インドネシア等のアジアでの増加が多く、また、ブラジル・アルゼンチン(南米)なども人口増加が予想されています。
日本では人口減少による地域の存続が課題になっていますが、世界では主に人口増加による食糧不足が、今後の大きな問題になってくると考えられます。
先進国で人口増加による食料不足に陥ると、食料の相場価格に影響が出て、発展途上国に影響する可能性があります。
なお、世界で深刻な食糧不足とされる割合は約10%、つまり発展途上国の7億8千万人が現在も飢餓の状態にあることになります。
先進国のなかでも中国などの国では、国民所得と生活レベルが向上により、主食が炭水化物からタンパク質へ、つまり肉や魚の輸入を増やし始めています。
そのため、日本では特に外食産業における牛肉、そして魚の多くを輸入に頼っている事もあり、今後安価に手に入りにくくなる可能性があります。
現在、その様な問題の解決方法の一つとして、肉の代替品となり得る大豆(植物性タンパク質)の生産に力を入れる国もあります。
魚の漁獲量は世界で見ると増えつつあり、特に公海(いずれの国の領海にも含まれない場所)では乱獲も起こっています。
発展途上国では、漁業権を他国に売却しているところもあり、その様な地域では魚が豊富に獲れるのに、自国民は魚を獲ることができないために飢えているという矛盾が起こっています。
さらに先進国の牛肉の需要増加に向けて、家畜の飼料用穀物の生産増加が必要とされています。
しかし米国ではエネルギー(ガソリンとして)に、サトウキビやトウモロコシを原料とするバイオエタノールの利用促進を進めています。(化石燃料からバイオエタノールへの切り替え)
バイオエタノールは植物由来の為、CO2削減に貢献するとされていますが、今後家畜飼料の需要の増加から、世界の穀物価格高騰への影響を懸念されています。
アフリカの一部地域では主食として穀物(トウモロコシ等)を生産しています。しかしこのような国では、生産量が伸びておらず、年ごとの生産量の変動が大きいです。
これは技術(テクノロジ-)がないため、土地などの自然資源を上手く活かすことができず、その結果として、飢餓につながっていると考えられます。
例えば、現代はアメリカで研究が進んでいるバイオ技術(遺伝子操作)によって、気候の影響や害虫に強くなるなど、食料生産量を大きく改善できるようになっています。
しかし、アフリカやEUの国々では、様々な理由によってバイオ技術の禁止または制限が行われています。
そのため、特にアフリカでは異常気象による、作物の生産量減少への大きな懸念があります。
今後気温が上昇することで、今まで作れた農産物が作りにくくなる(逆に寒い地域では作りやすくなる)可能性があります。また台風や竜巻、大雨などの異常気象が増加し、その影響を受ける地域も増えてきます。
そのためあらゆる国家は、テクノロジーやイノベーションによって、食料生産量を上げること、そして平時だけでなく、非常時に対応できる様に対策しておく必要があるのではないかと考えられます。
このように考えると、現在日本においては〝地産地消〟が推進されていますが、それが絶対とは言えず、日本国内であれば、適した気候で適した作物を効率的に生産した方がいい場合もあるように感じられます。
農業自体、様々なエネルギーを使用する訳で、輸送コストや輸送で排出するCO2という問題はありますが、生産に適さない地で生産する方が、結局コストもCO2も増えてしまうのではないかと感じます。
地産地消については、資源と気候や土地が適している場合において、推奨できるのではないかと考えられます。
世界各国では、様々なイノベーションが進んでいます。
例えば米国では広大な大規模農場が主流となっています。自動運転のトラクターを活用して生産量をアップさせること、また、〝AI〟サポートによって環境管理のシステムを導入し、誰でも〝達人〟の農家と同じ様に栽培できる技術が登場しています。
東南アジア(タイ等)のような小規模農場では、大型トラクターの活用が難しいため、ドローンによるシューター機能(ドローンは本来無人爆撃機として開発されていました。)を活用して、稲のカプセルをドローンで打ち込むという事も行われています。
もちろん手の方が正確で品質もいいと思われますが、品質よりも大量生産が重要視される国では、この方法が良いという事です。
その他でも漁業においては、テクノロジーによる養殖技術の進化が期待できます。農業ではゲノム編集(遺伝子の性質の改変)によって、野菜に対して栄養価を高くする、収量を増やす、病原菌に耐性を付ける、なども可能になると言われています。
3.すべての人に健康と福祉を
この問題で気になるのは、〝公平性〟です。公平とはみんなにチャンスがあること、平等とはみんな同じにすることです。
両者は似ていますが、平等では頑張っても頑張らなくても同じ結果となります。公平ならば才能のある人や頑張った人が報われるということになります。
すべての地域を同じ水準にするということではなく、地域によって、そもそも生きられない、医療を受けられないという状態をなくすことが必要ということです。
発展途上国では衛生面の整備が整わないことから、若くして亡くなる方が多いという問題があります。そのためにたくさん子供を産み、結果的に人口増加と貧困につながっています。
若くしてなくなる原因として、例えば靴を履かないことによる破傷風やトイレでの感染症などの例があります。
生まれた地によって衛生面の未発達なことによる死が多い事や、本来治るはずの病気で亡くなる事は、とても公平とは言えません。
このような問題は現在グローバル企業や、NGO等の団体が力を入れているところで、多くの支援が行われています。
日本の身近な課題としては、公共施設等の身体障害者向け設備の充実があります。
これらに関しては取り組みが進んでいる様に感じます。しかし実際にその立場にならないと理解しにくという事が〝壁〟になっているのではないかとも感じます。
考えてみると、ある日突然交通事故にあう可能性はあります。また身近な家族がその様な立場になることも十分に考えられます。
誰もが、もしかしたら自分も車椅子の生活となるかもしれないと想像できるようになれば、それが現在の様々な課題の解決に繋がっていく可能性があるのではないかと思います。
現在日本では車いすの自動運転や、介護用のパワースーツ、3Dプリンターによる安価な義手や義足の製造、緑内障を矯正できる人工網膜など新技術への取り組みも行われており、世の中は良い方向に向かっているのではないかと思います。
みんな平等にとはいきませんが、娯楽やスポーツにおいても、できる限り公平にチャンスがあった方がいい世の中と言えます。
また、テクノロジーだけではなく、包容(受け入れる事)・包摂(自分に直接関係しない、横のつながりを意識する事)の精神が公平性にとって大切なことではないかと思います。
4.質の高い教育をみんなに
私の個人的には、この目標は先に挙げた3つの大目標にとって最も重要なのではないかと考えています。
発展途上国での貧困や飢餓の原因に、そもそもそれを避けるための〝知恵〟がないという事があります。
例えば発展途上国のある地域で潜水する漁師は、安全な浮上方法を知らず、昔ながらのやり方で漁を行っているといいます。そのため、若くして身体が不自由になる事があるのだとか。
また水を不衛生なまま(煮沸などしない)飲んで病気になる人々、世界の相場価格を知らずに、公正ではない取引を行う人々など、日本で考えられない事が世界ではたくさんあるようです。
日本では〝ググれば〟いいことも、インターネット回線が普及していない発展途上国では難しいのです。
しかもある国では、子供たちの仕事は川の水くみという重労働があって、そもそも教育を受ける時間などない地域も多いといいます。
またそもそも学校がない地域、学校はあっても教師がいない地域もあります。世の中でルールや仕組みをしらないと、不利益を受けるというのは、グローバル社会では当然のことになっています。
先進国であっても自国の歴史や文化の大切さ、自然環境の保全の大切さ、また道徳的な考え方など、子供たちに勉強以外で教えなければならない事はたくさんあります。
当たり前の様ですが、普段の生活で気にしていない事はたくさんあります。例えばあらゆる資源は無限ではないということです。
・人口増加によって世界で増え続ける高層ビルのコンクリートには、多くの砂が使われていて、それは一部の国で、〝国土〟と〝防災〟が失われることに繋がっています。
・魚は、自然に増える量を漁獲量が上回ると、いずれいなくなってしまいます。
・水は雨や雪解け水から成り立っています。そのため異常気象による温暖化は、水不足を引き起こし、世界の砂漠化につながります。
これらは聞くと当たり前のことですが、普段の生活で気にすることはないと思います。
人間の社会は文字と紙によって知識を伝えることができるようになり、これだけ発展してきました。持続可能な社会の為には様々な〝知識〟が必要である事。そして知識から論理的に考えることができる〝知恵〟が必要となります。
そして知識は多い方が、世の中で起こる様々な事に対して納得しやすくなります。逆に知らないと、納得できないことによるストレスが増え、結果として余計な争い毎が多くなってしまうのではないでしょうか。(発展途上国でのテロ活動などのように)
もう一つ重要な点が文化の継承です。伝統文化や産業は人の活力の源です。例えば祭り・芸術・文化・芸能等は、地域の良いところを知ることができ、活力を市民に与えてくれます。
このようなものを残していくには、〝不加価値〟という価値観が重要となります。生活において一つのものしか選べないというのは多様でなく、幸せな事とは言えません。
選択肢が多すぎるのもどうかとは思いますが、選択肢があった方がいい、文化的な豊かさとはそういうものではないでしょうか。
不可価値を尊重して対価を支払うことで、多様な文化が持続することができるのです。
学びと文化継承はリンクさせることが可能です。
北欧で木の豊かなある地域では、〝緑の教室〟という、木で物を作る体験活動を積極的に子供たちに行っています。
少し変わっているのは、作ったものを実際に販売するために、〝実用的で価値のあるもの〟をつくることを重要視しているそうです。
これは自然を守る事が、〝経済的豊かさ〟に繋がることを子供たちに教えているそうです。
また、トライ&エラーの実践として、このような体験には大きな価値があると言われています。成功するまでの失敗体験の繰り返しは考える力を養い、創造的な仕事をするために必要な、論理的に考えるための〝知恵〟を養うことができるといいます。
実際にこのような取り組みを重要視している北欧のデンマーク、スウェーデン、フィンランド等には、小さいながらもクリエイティブな企業がたくさんあると言います。(有名企業ではREGO、NOKIA、IKEAなど)
5.ジェンダー平等を実現しよう
最近話題になることが多い〝ジェンダー〟の問題ですが、これも平等というようりも、公平(フェア)であることが重要ではないかと思います。
なぜなら頑張った人も、そうでない人も同じということは、不公平だからです。これでは努力する人が減ってしまいます。
日本では大学受験が〝学力〟という能力で決まることに対して不平を言う人はいませんが、仮に年齢や性別によって試験を受けることができないとなると、多くの不平が出ると思います。だれにでもチャンスがあるということが大切だという事です。
世界で考えてみると、そもそも生きられるチャンスが少ない国があります。水質が悪く病気になりやすい、裸足のため感染症になりやすい、マラリアなどの感染症にかかりやすい、危険な仕事しかない、食料が少ないなど様々です。
そもそもこのような状況下で犠牲になるのは、力のない人々や抵抗力のない人々、そして社会的地位の低い人々で、発展途上国においてはその多くが〝女性や子供たち〟であるといいます。
また、発展途上国では女性のほとんどが仕事で給料をもらえる立場にないといいます。(家事などの無償労働が多く、しかもハードでリスクが伴うものが多い。)これでは生きるためには誰かに依存せざるを得ないことになります。
SDGsの目標の1~6は、まさにこのような問題を解決するためにあると言えます。
残念ながら日本国内でも、ジェンダーに関する目標達成率は悪いです。
(日本で赤点と言えるのは、目標5.ジェンダー、目標12のつくる責任つかう責任、目標17のパートナーシップ等です。)
日本では女性の政治家や管理職の数が少ない事、日本の性の問題として売春が影響しているといいます。このあたりは世の中の流れとしては今後変わっていくと思います。
もう一つ大事な事は、多様な性の問題として、マイノリティ(少数派)の、同性愛者・障害者の方への問題についてです。これには寛容・包容の精神が大切になります。
例えば、トイレや更衣室について、男性用・女性用・障害者用・そして〝共用〟の4種類があるのが良いのではないかという事になります。
これによってあらゆる人のストレスが緩和されるのではないかということが言われており、一部の国の施設で実際に取り組まれています。
目標3でも書きましたが、誰でも怪我による骨折などで、一時的でもマイノリティ(少数派)に入る可能性はあるわけで、一度その様に不自由な体験をした方は、障害者用施設に対して寛容的になると言われています。
こういった設備を設けるには、施設側の維持費や費用面の負担が大きくなりますが、利用者からは良い評価を得られ、人々から選ばれる施設となっていくのではないかと考えられます。
また、台湾では同性婚が一時期大きな社会問題となりました。特に年配の世代(親・親族)からの反発が大きかったようです。(台湾では昔から結婚は家と家の関係とされていました。)
この問題の解決を図るため、同性婚を望むカップルの場合、個人同士の結婚は認め、家族同士の姻戚関係が生じない様にして、社会に受け入れやすい土壌をつくったそうです。
その後少しずつですが、多くの世代に対しこのような考えが認められるようになってきたといいます。
ジェンダーの問題は、SDGsの中でも多様で複雑な問題が多いのですが、結局のところ包容と寛容、誰も置き去りにしないという精神と、みんなで考えるという〝社会の知恵〟が必要なのだと思います。
最後に、あるオリンピック金メダリスト(女性)の方のインタビューで、「男女は平等であり、男女はそれぞれの役割を持って、違う価値を持っている。価値の違いを認め合うことが大事。」というコメントを目にしました。
男女どちらがえらいとか、強いとか、賢いとかではなく、同じ土俵に上がった場合、お互いの強いところは認め合い、弱いところはフォローし合えるという事が大切なのかなと感じました。
目標6 安全な水とトイレを世界中に
目標6の大きな問題は、発展途上国の中で安全な水を飲むことができないために、病気になる子供たちがいるということです。また、トイレが水洗ではないことから、トイレで感染症にかかる子供たちも多いのです。
川の水は、地下水の様に岩や砂利などによって〝ろ過〟されていない限り、細菌がいてお腹を壊してしまいます。それを知らすに飲んでいる地域では、特に子供が抵抗力が弱いため、病気となることが多いようです。
また地域によって川の水くみは重労働で、何キロも重い水を運ばなければなりません。川には、凶暴な爬虫類などが住む地域もあります。
これらの件は、水が豊富で豊かな日本では関係がないように思えます。
しかし日本は、食料自給率が40%程度で、食料の大半を〝輸入〟に頼っています。特に外食産業で重要な牛肉のほとんどは海外産に頼っています。牛の様な大きな家畜を育てるには、(その国の)大量の水が必要とされます。
このように直接的には使っていませんが、間接的に使っている水の事を〝バーチャルウォーター〟と言います。それを考慮すると、日本は水の豊かな国ですが、実は生活に必要な水の多くを他国に頼っている国という見方になります。それは家畜だけでなく、農産物でも同じことが言えます。
世界の水問題は、日本に関係がないわけではなく、他国の水の恩恵を大きく受けている以上、その恩を返していかなければならない立場にあると言えます。
また、できるだけ安全な水で育てられた食品を輸入できるに越したことはありません。
現在、アジアでは〝水設備〟がODA(各国政府が行う国際援助)によって各国に設備投資されています。
〝水ビジネス〟は国と民間企業の協働で行われるようになっており、いわゆるインフラビジネスと呼ばれています。
シンガポールやドバイでは、海水を真水に変える〝海水淡水化〟技術が採用されていますが、韓国がこの分野でリードしています。
日本でいうと、東京の浄水設備は世界トップクラスのレベルなのですが、実はこれはハイパフォーマンス・高コストで、他国が求める設備とギャップがあり、なかなか受け入れられないようです。
要は中パフォーマンスで、中コストな設備が求められているということです。今後も発展途上国を中心に、水ビジネスというインフラビジネスが注目されていくと思います。
一方で大規模な開発ではありませんが、インドでは月額制での給水施設利用サービスが始まっています。これは初期投資が払えない村のために、企業側が初期投資を行い、井戸を整備して住民から月額使用料をもらうというシステムです。
これによって村人たち(特に女性や子供たち)は水汲みの重労働から解放されたといいます。
日本の地方自治体でも、独自の取り組みをおこなう所があります。福井県大野市では、アジアで最も水環境に恵まれない国の一つ東ティモール共和国に給水システムの設置支援を行っています。
これは水の国際支援を行うことで、名水の町大野市の市民に誇りをもってもらい、水の大切さをあらためて考えてもらうという、持続可能な地域を目指すSDGs活動です。
水はかつて世界四大文明(メソポタミア・エジプト・インダス・中国)が大河の近くで生まれた様に、人が暮らすための生活のあらゆる基盤となるので、今後も様々な仕組みづくりや援助、そしてイノベーションが行われていくと思います。
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