SDGs 環境未来都市富山市 富岩環水公園・中心市街地商業エリア・公共交通による、都市バランスによる住み続けられるまちづくり。 

SDGsのはなし

環境未来都市構想を掲げる富山市は、公共交通・都市デザイン・市民生活・エネルギー等による取り組みをにより、①福祉・健康(高齢化対応等)、②経済(人口減少等)、③環境(大気汚染等)の3つの課題の解決を目指していると考えられます。

富山市の中心市街地は、北エリア(富山駅北)・中心エリア(総曲輪商店街等)・南エリア(住宅街)3つのエリアに分かれます。そしてそれらのエリアは、公共交通(市内電車等)で結ばれています。



北エリアは富山駅の北側で企業ビルや、富岩運河環水公園があります。運河を活かしたまちづくりというコンセプトの元、水と親しむ親水公園「中心市街地リゾート」として市民に親しまれています。運河を巡る船、富岩水上ラインの運航、文化施設の富山県美術館、コミュニティ施設のとやま自遊館、健康促進のための運動施設として富山市総合体育館やジム、交流施設としてレストランやカフェなど、充実した施設が整っています。
また、運河沿いをはランニングできるように1周4.7㎞のコースになっていて、市民が健康で文化的な生活をおくるための拠点となっています。


総曲輪商店街などのある商業エリアは、市民が質の高い魅力的な生活をおくるための拠点を目指しています。昔からある商店街の周りに、富山市唯一の百貨店「富山大和」、最新の設備が整った「富山キラリ(富山市立図書館他)」、全天候型の屋外イベントスペース「グランドプラザ」などがあります。
また、富山市の文化の発信施設として、「富山市ガラス美術館」、富山県産の食材を取り揃えた「地場もん屋総本店」、中規模商業施設として、映画館を併設した「ユウタウン総曲輪」、飲食を中心に個性的なお店が入る「SOGAWA BASE」なども市民に人気のスポットです。

最後の南エリアは、住宅や学校が多い地域となります。ちなみに富山市は中心市街地内にマンションを増やすことで「街なか居住」を推進しています。さらに中心市街地エリア外、南富山地区、豊田地区などの住宅街と市内電車等の公共交通で結んでいます。これらは富山市のコンパクトシティ(都市機能の集約した効率的で持続可能な都市)政策の一端です。
【富山市 環境未来都市計画コンパクトシティ戦略による富山型都市経営の構築】
http://www.city.toyama.toyama.jp/data/open/cnt/3/9959/1/05_keikakusyo28.pdf

さて、コンパクトシティ政策に取り組む富山市ですが、富山県全体として見ると、一世帯あたりの車保有台数が、全国の都道府県で2位という圧倒的な車社会です。このままではこの先に待ち受ける高齢化社会の中で大きな問題となってしまいます。

現在でもガソリンの大量消費、CO2排出、交通渋滞などの問題があり、さらに今後高齢化等により交通弱者が増えることによって、交通事故の増加や歩かない不健康な生活スタイルなど多様な問題が起こることが考えられます。


さて、ここで環境都市として先進的なデンマークとドイツの例で車社会の問題への対応例をご紹介いたします。

デンマークのコペンハーゲンは世界有数の自転車都市で、通勤・通学の約40%に自転車が利用されています。交通渋滞・事故・大気汚染などの対策として推進する政策がとられているようです。その中でも代表的な例が「自転車スーパーハイウェイ」という自転車専用高速道の設置です。高原の林間コースの様な景色の道路もあり、通勤にストレスを感じることなく中心地の職場まで行くことができます。

ドイツのフライブルクでは、車の少ないまちづくりを目指し、路面電車の充実を行うことで車を使わずに中心部へ行けるまちづくりを推進しています。その理由は狭い中心部の通りに車があふれることで市民の生活の質が低下したからということです。
さらに路面電車の充実に合わせ、乗り放題チケットの販売、パークアイランド(郊外駐車場)の整備、路面電車との連携などで路面電車の利用を促進しています。

また、フライブルクのヴォーバン地区では、住宅街に車が入らない様に駐車場を作らせず、住民は郊外の立体駐車場を使用しています。住宅街に路面電車を通し、居住者同士でカーシェアリングする為の車を市が設置するなどして、車の使用を制限しています。また、住宅街の中では車の制限速度を歩速に設定し、道路を他の道路とつなげないことで、車が入らないようにして子供が道路で遊べる「遊びの道路」を設定しています。


環境未来都市とは、環境問題だけを解決するわけではありません。例えば車に頼らないまちづくりを行うことで、中心市街地の交通事故が減少する、空気環境が良くなる、歩く機会が増えて健康的な暮らしになるなど、健康的な生活を促すと共に、市民の生活の質を高めるための施設や設備を充実させることで、結果的に地域に住む人を増やし、地域の衰退を防ぐために、福祉・健康(高齢化対応等)・経済(人口減少等)・環境(大気汚染等)の観点で複合的な課題解決を行います。

そんな富山市の未来を想像してみなしょう。将来車の運転ができなくなったとしても、自宅から市内電車を利用し、健康、文化、環境に優れた設備が整った富岩環水公園で半日を過ごし、午後からは総曲輪商店街などの商業エリアへ移動し、映画館や図書館へ立ち寄り、グランドプラザでイベントを楽しみ、百貨店や多様な専門店でショッピングを楽しんだ後、市内電車で家へ帰る、豊かに暮らす光景が浮かびます。

現在街はまだ発展のさなかですし、若い方には魅力や刺激が少なく感じるかもしれませんが、富山市は環境未来都市として健康で文化的で豊かな生活を楽しめるように、これからもより良く変化していくと思います。

※富山市の環境未来都市構想は、エネルギーや福祉・医療の分野でも様々な政策で課題解決を行っています。

参考資料
第 2 次富山市環境未来都市計画 https://www.city.toyama.toyama.jp/data/open/cnt/3/9930/1/dai2ji_kankyoumiraitoshikeikaku_honntai.pdf?20200626140143
デンマークのスマートシティ 著者 中島 健祐
SDGs先進都市フライブルク  著者 中口 毅博 熊崎 実佳







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